3センチHERO

「なによ、3センチのくせに!」


「違うし、3.03センチだから!」


「一緒でしょーがっ!」


目の前では一体何が起こっているのか。


私と逢坂くんは同じ思いで目を合わす。


この喧嘩のようなものは、親子、というより姉弟………いや、小学生同士と言っても過言ではないくらい。


くだらないことで喧嘩して、言いたいことを言い合って。


なんだ…三枝くんがしたかったこと、出来てるじゃない。


ふふっと音を鳴らして微笑むと、途端に喧嘩のようなものはすぐに止む。


「そうだった、鳴海と小春がいるのを忘れてた」


「そうね、ついいつもの感じになってしまったわ。ごめんなさい、お恥ずかしいものを見せてしまって…」


「い、いえ…! 楽しそうなお2人の姿を見ることが出来て、とても光栄です」


「そうですよ、普段どおりが一番ですから」


申し訳なさそうに頭を下げる2人に、私と逢坂くんはてんやわんや。

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