3センチHERO

謝られるのに慣れていないというのもあるが、なにより、三枝くんのお母さんが彼に似て賑やかな方だと知ったからだろう。


電話でしか伝わって来なかった『三枝くんのお母さん』というイメージは、大人になっても喜怒哀楽を大切にする明るい優しい人、という風に変わっていった。


「…で、あなたがそんな姿になってしまったということは分かった。でも、それだけじゃないんでしょう?」


どうやら『一寸成就』について理解してくれた様子の母親は、まるで犯人に問い詰めるような刑事の顔で三枝くんに尋ねる。


ああ、ついに本題が来てしまった。


渋い表情で彼もまたため息をつく。


「実は───」


そこまで言いかけた時。

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