3センチHERO

どういうことだ、とよく分からない様子でぶつぶつ独り言を漏らしながら、男性は私たちのいるリビングへと近づいてくる。


廊下とリビングを結ぶ1枚扉を開ければ、私たちは驚きの表情で顔を合わせた。


「………なっ! お前たちは誰だ」


困惑からか、少し怒りまじりの形相でこちらを指差す。


「僕らは紘さんの友人です。突然押しかけることになってしまい、申し訳ございません」


「なに? 紘の…?」


丁寧な逢坂くんの言葉に、父親は為す術もなく、完全にこの状況を受け入れざるを得ない事態に。


しかし、彼も一応三枝くんの父親だ。


三枝くんの失踪について知らない訳もなく、また顔をしかめた。

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