3センチHERO
そう思いながら足を進めて、数十分後。
学校付近の交差点で、前を歩く逢坂くんを見かけた。
特にこれといった違和感もなく、いつも通りの逢坂くん。
じゃあどうして?、と逢坂くんをまじまじと見つめて、不自然なところを必死で探す。
すると、その不自然な点は、信号が青に切り替わってから、すぐに発見した。
さっきは人で溢れていたせいで気付かなかったけれど、確かにそれは存在している。
「なんで…」
ぽつりと無意識に悲しみの声を発した私とは裏腹に、逢坂くんと隣で歩くその人は、ずっと笑顔だった。
どうして、鈴村さん……。
私は、楽しそうに並んで歩く2人を、ただ見ていることしか出来ないのだった。