3センチHERO

そして、昼食の時間になると、いつものように逢坂くんがテニス部部室へと誘った。


でも、さっきの出来事が思い出されて、一瞬答えに戸惑ってしまう。


だって、鈴村さんは三枝くんの彼女なわけで、逢坂くんは三枝くんの親友で。


三枝くんは、そのことを知っているのかな、見ていたかな。


どう思ったかな…。


「もしかして具合悪い?」


「えっ?」


不意にかけられた疑問に、私は首を傾げる。


「だって、さっきから思い詰めたような表情してるから」


嘘…顔に出てたなんて。


恥ずかしい以外の言葉が出てこない。


「大丈夫、なんでもないよ」


「そう、良かった」

じゃあ行こっか、と歩き出す逢坂くんの後をついていく。

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