3センチHERO
大きなその背中を見ていると、つい朝の光景を思い出してしまう。
隣にいた鈴村さんの笑顔が、また思い出される。
この2人はどんな関係なんだろうか。
『香澄』、『小春くん』って、お互いを下の名前で呼び合っていたから、三枝くんを通しての仲だけっていうわけではなさそう。
ということは、もしかして逢坂くんは知っていたのかな…三枝くんと鈴村さんが家族だって。
でも、そんな雰囲気はなかった。
私と同じように、衝撃すぎる事実に固まっていただけ。
あの反応が嘘だったとは、とてもじゃないけど思えない。
じゃあどういう……。
「…み、鳴海っ」
「あ、はいっ…!」
呼ばれていたことに気付かず、慌てて返事を返した。