3センチHERO

「ふふ、そっか。結子も、デートするお年頃になっちゃったのね」


「いや、デートってわけじゃ…」


「だって、お相手は最近一緒のあの男の子でしょ?」


「………えっ!?」


思いもよらない発言に、つい声が出てしまった。


慌てて口を抑える私に、お母さんは、図星だったのね、とまた笑う。


「懐かしいなあ。お母さんも高校生に戻りたいものね」


「…いいじゃん、お母さんにはもう相手がいるんだから」


したいなら、何度でも2人でデートしてくればいいじゃない。


と、言葉を加えると、お母さんははにかんで、柔らかい笑みを見せた。


「それもそうね」

こんな表情を見るのは初めてで、なんだか切ないような気持ちになる。

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