3センチHERO
私がいなかったら、2人は恋人のように楽しく笑いあっているのかな。
改めて考えてしまうと、やりきれない思いが心を締め付ける。
好きな人と愛し合いたいという思いは、何も私たちだけじゃないんだって、ちゃんと分かっていなかったのかもしれない。
だからこそ、今度の逢坂くんとのお出かけを楽しんでくるべきなんだ。
三枝くんには残念だけど、今私が一番にすべきことはきっとそれだから。
「…というわけで、私は行こうと思うんだけど、どうかな」
二階へ上がり、三枝くんに考えていたことを話した。
持ってきた白飯を、つまようじで器用に食べる彼。
ただ黙々と食べ続けるだけで、会話どころか、目も合わせてくれない。