3センチHERO

どうしたら、皆が喜んでくれるか。


どうしたら、皆の期待に応えられるか。


昔からずっとそればかりを気にして、そのせいか、優柔不断と言われ、気付けば友だちなんかいなかった。


何も、これだけが原因じゃないことは、分かっている。


けれど、いくら直そうとしても、この性格だけはずっとこのまま。


──私は一体どうすればいいの?


誰かに聞くことも出来ない私は、ただ心が小さくなって、狭くなって。


『鳴海は鳴海らしく、自分の思いのまま行けばいいんだから。何も心配すんな』


ついさっきの言葉のはずなのに、なぜだか懐かしい。


きっと……待っていたんだ。


ありのままの私でいいんだって、言われることを。


「ありがとう、三枝くん……私、楽しんでくるから」


「おう、頑張れな」


ふと見た笑顔に、また癒されて、励まされていく私がいた。

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