3センチHERO

そして土曜日。


逢坂くんが家に迎えに来てくれるというので、私はそわそわしながら待っていた。


「き、緊張する…」


「なんで?」


ぼそっと口にすると、三枝くんはそう尋ねてくる。


「だって、クラスメートの男の子と2人で出かけたことなんて、今までになかったから…」


「俺と、鳴海のばあちゃんちとか図書館とか、小春んちとか行っただろ」


「あ、そういえば確かに」


完全に忘れていた私は、忘れたのかよ、と三枝くんに怒られる。


だけど、これは忘れていたとかじゃなくて、今の三枝くんに『クラスメートの男の子』という認識が出来ていないせいだと思う。


親指サイズのままじゃ、ペットか人形かくらいにしか思えないから。

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