3センチHERO
階段を駆け上り、三枝くんの待つ私の部屋へとたどり着いた。
ドールハウスの上の階のベッドで退屈そうに足をばたつかせる君は、私の登場に驚きを隠せない様子。
「あれ、鳴海? 小春と一緒に行ったんじゃ…」
「うん、だけど逢坂くんが呼んでるから」
「はあ?」
手のひらを差し出すと、何やらぶつぶつと文句を言いながら、ひょいっと飛び乗る。
「どういうことだ? 俺も一緒に行くってことか?」
「うーん、どうだろうね」
彼の疑問に、上手く言葉を返すことが出来ない。
それはきっと、私も本当の逢坂くんの心が見えていないからだろう。
逢坂くんは、一体何をするつもりなんだ…?