3センチHERO

階段を駆け上り、三枝くんの待つ私の部屋へとたどり着いた。


ドールハウスの上の階のベッドで退屈そうに足をばたつかせる君は、私の登場に驚きを隠せない様子。


「あれ、鳴海? 小春と一緒に行ったんじゃ…」


「うん、だけど逢坂くんが呼んでるから」


「はあ?」


手のひらを差し出すと、何やらぶつぶつと文句を言いながら、ひょいっと飛び乗る。


「どういうことだ? 俺も一緒に行くってことか?」


「うーん、どうだろうね」


彼の疑問に、上手く言葉を返すことが出来ない。


それはきっと、私も本当の逢坂くんの心が見えていないからだろう。


逢坂くんは、一体何をするつもりなんだ…?

< 213 / 345 >

この作品をシェア

pagetop