３センチHERO

「えっ、逢坂く…」


そのまま、抱き寄せる形で彼の胸の中へ。


「ごめん、そんな辛い思いさせて…」


弱々しい声で呟く逢坂くん。


「逢坂くんが謝ることじゃないよ…三枝くんと『一寸成就』の間、ともに過ごしてみようって決めたのは私だから」


「…でも、俺なら紘の変化にもっと早く気付くことが出来たはずなのに」


だんだんと強くなっていく逢坂くんの腕。


それはまるで、不器用な心を表しているように思えて。


不思議と受け入れてしまう自分がいた。


「じゃあ、少しだけ俺の話をしてもいい？」


逢坂くんの話…？


どうしてこのタイミングなんだろう、と疑問に思うところもあるけれど、逢坂くんのことだから何か考えがあるのかもしれない。


深く頷けば、彼は体を離し、真剣な表情で向き合う。