3センチHERO

「ドールハウスって言って、人形とかぬいぐるみを使って遊ぶための家だよ。小学校の頃に使っていたんだけどね、まだ使えるかなと思って…」


「ふーん」


興味なさそうな言葉とは裏腹に、三枝くんはまたさらに目を輝かせる。


「なぁ、入ってみてもいい?」


有無を言わさず、今にも家のドアを開けそうな雰囲気。


「まだだめだよ、一回きれいにするから待ってて」


言いながら私は雑巾を探しに行く。


少し不機嫌そうにしていたけれど、怒らせちゃったかな。


でも、あんなもので三枝くんの喜怒哀楽が変わっていくのはなんだか嬉しい気もする。


雑巾を手にして再び部屋に戻ると、半分ほど残ったロールケーキの隣で横になっていたいなっている三枝くんがいた。


「どうしたの?」


そのように聞かなきゃいられないこの状況。

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