3センチHERO
「帰ってきてたなら、家に入りなさいよ。寒いでしょ?」
「あっ…う、うん」
「それとも、何か家に入りたくない理由でもあるのかしら」
またもや、お母さんは鋭い台詞を吐く。
いつもは天然のくせに、どうしてそんなところばかり鋭いのだろう。
不思議に思いながらも、どうにか笑顔を作って、家に入る。
「なんでもないよ。ただいま、お母さん」
「うん、おかえりなさい」
私が扉に手をかけると、お母さんは手を振って買い物へと出かけていった。