3センチHERO

さて、本番はこれからだ…!


ゲームでいうところのボス戦のような緊張感を宿し、二階へとあがる。


だが…。


「さ、三枝くん…」


ドールハウスに向けて声をかけたその時。


「あれ、いない」


しゃがんでよく見える位置に来ても、彼の姿を捉えることが出来ない。


ベッドにも、ソファにも。


どこにもいないのだ。


「な、なんで…?」


いなくなっちゃったのだろうか。


私には会いたくないってこと?


不安になってしまったけれど、きまぐれな三枝くんならありえないこともないだろうと、そのままにしておいたのがいけなかったのかもしれない。


この行動がのちに大きな事態を招いてしまうことになるなんて、この時の私は知る由もなかった。

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