3センチHERO

「は、はあ。それで、どうしてまた…」


「小春が忘れ物をしたものですから、それを届けに…。そうしたら、優しい娘さんが家にあげてくださったので。すみません、勝手に優しさに甘えてしまいまして」


「なるほど、結子が」


よくやったわね、と頭を撫でるお母さん。


まあ、本当は少し違うけれど、なんとか通じたみたいだし、これでいいのかな。


「さて、結子。2人で仲良く学校へ行ってきなさい」


時計を指差しながら、遠回しに教えてくれる。


そっか、もう学校へ行く時間だ。


「…じゃあ行こうか、鳴海」


「う、うん」


逢坂くんの手に引かれ、私は家を出た。


「頑張れよ、期限は3日だからな!」


後ろから、そのような晴継さんのエールと、お母さんの笑い声が聞こえる。


全くお母さんってば、のんきなんだから…。

< 281 / 345 >

この作品をシェア

pagetop