3センチHERO
「は、はあ。それで、どうしてまた…」
「小春が忘れ物をしたものですから、それを届けに…。そうしたら、優しい娘さんが家にあげてくださったので。すみません、勝手に優しさに甘えてしまいまして」
「なるほど、結子が」
よくやったわね、と頭を撫でるお母さん。
まあ、本当は少し違うけれど、なんとか通じたみたいだし、これでいいのかな。
「さて、結子。2人で仲良く学校へ行ってきなさい」
時計を指差しながら、遠回しに教えてくれる。
そっか、もう学校へ行く時間だ。
「…じゃあ行こうか、鳴海」
「う、うん」
逢坂くんの手に引かれ、私は家を出た。
「頑張れよ、期限は3日だからな!」
後ろから、そのような晴継さんのエールと、お母さんの笑い声が聞こえる。
全くお母さんってば、のんきなんだから…。