3センチHERO

「それで、私たちは一体どうしたらいいんだろう」


『神隠し』だとか、選ばれた1人だけとか、期限は3日だとか。


一気にたくさんのことを言われて、頭がついていかない。


「…とりあえず、あいつと関わりあった人連れて、家に行ってみるか。紘が誰を望んでいるのかなんて、正直分かんねえし」


「うん、そうだね。家族かもしれないし、友だちとかお世話になった人とか…範囲は広いからね」


三枝くんは、一体誰を選んだのだろう。


そんなもどかしい思いよりも重要なことがあるはずなのに、なぜかそればかりしか考えられない。


「…三枝くんに、早く会いたいな」


ぼんやりと声に出した思いは、空に飲み込まれて消えた。


誰に届くでもなく、ただそっと。

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