3センチHERO
教室に入ると、真っ先に席に着く私に対し、逢坂くんは三枝くんと仲が良い人に片っぱしから声をかけていく。
だけど、三枝くんは友だちも多い方だったから、その方法でいくと3日じゃ終わらないような…。
なんて言えるはずもなく、私はただその様子を眺めていることしか出来なかった。
そして学校終了のチャイムが鳴り、私たちはまたこの道を歩いていた。
隣には逢坂くんと、それから──
「いやぁ、なんだか恥ずかしいよ。カップルと並んで歩くなんてさ」
「そんなこと気にしてる場合かっての、香澄。お前の恋人は今、行方不明なんだぞ?」
「分かってるって! …もう恋人じゃないけど」
「まだ好きなくせに」
「うっさい、小春くん! それ以上言うなぁ!」
鈴村さんと逢坂くん、2人の会話を見ているとなんだか自然と和やかな気持ちになる。