3センチHERO

教室に入ると、真っ先に席に着く私に対し、逢坂くんは三枝くんと仲が良い人に片っぱしから声をかけていく。


だけど、三枝くんは友だちも多い方だったから、その方法でいくと3日じゃ終わらないような…。


なんて言えるはずもなく、私はただその様子を眺めていることしか出来なかった。





そして学校終了のチャイムが鳴り、私たちはまたこの道を歩いていた。


隣には逢坂くんと、それから──


「いやぁ、なんだか恥ずかしいよ。カップルと並んで歩くなんてさ」


「そんなこと気にしてる場合かっての、香澄。お前の恋人は今、行方不明なんだぞ?」


「分かってるって! …もう恋人じゃないけど」


「まだ好きなくせに」


「うっさい、小春くん! それ以上言うなぁ!」


鈴村さんと逢坂くん、2人の会話を見ているとなんだか自然と和やかな気持ちになる。

< 283 / 345 >

この作品をシェア

pagetop