3センチHERO
「結局、なんだかんだで鈴村さんだけになったね」
逢坂くんに声をかけると、重いため息と共に訳を話してくれた。
「そうなんだよ…やっぱりさ、紘の思い人ってそれなりに近い距離にいる人だと思ってさ。そういう大切な人には、自分が小さくなっていることを伝えていると思うんだよね。
というと、あいつが一寸成就中だって知ってるのは、俺と鳴海、それから香澄。あとあいつの両親に聖。きっとこの中に、紘の思い人はいるんじゃないかって…」
「おお…! なるほど」
明確な推理に、つい感心してしまう。
まるでどこかの小学生探偵のようで、本当にすごい。
でも、それならため息を吐く必要はどこにあったのだろう。
と首を傾げれば、また彼はため息を吐いて。
「実は、そのことに気付いたのがついさっきでさ。もういろんな人に聞いた後だったし…疲れたよ、もう」
なるほど、ため息はぐったりとした疲れから来ていたのか。