3センチHERO

「だから、違う違う! もし紘くんと何かあったんだったら、私も何か助けになれたらなって思ってさ…誤解させちゃったなら謝るよ、ごめん」


手のひらを合わせ、私に向き合って頭を下げた。


その姿が拝んでいるように思えて、つい笑いが込み上げてきてしまう。


「ちょっと、こっちは真剣なんだけど!?」


「ご、ごめん…」


「いや、鳴海が謝る必要はない。どう考えても香澄がふざけてんのが悪い」


「はあ!? 何よ、小春くんまで!」


和やかに、穏やかに。


決してほのぼのとした日常だとは言えないけれど、それでも私の心はいつになく暖かく照らされていた。


逢坂くんも、鈴村さんも、2人とも明るくて人気者で。


きっと『一寸成就』がなかったら今でも関わっていなかっただろう。

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