3センチHERO

「はーい………あら、まあ皆揃って」

順番に見回し、ふふ、と小さく笑った。


「きっと紘が何かやらかしたのね。いいわ。今日はお父さんも聖もいるから、入ってちょうだい」


「はい、ありがとうございます」


逢坂くんの返事で、私たちは家の中へ入る。


相変わらず狭いこの空間は、リビングへと歩むたび、三枝くんを思い出させる。


「ほら、聖もこっちへおいで」


部屋の隅っこで積み木を立てていた彼を、優しく誘うお母さん。


三枝くんの母であり、聖くんの母でもあるこの人。


だけど実は、聖くんとしか血の繋がっていないんだよね。


確か、三枝くんの本当のお母さんは鈴村さんのお母さんだっけ。


複雑で、指で家系図を追わないと分からなくなってしまいそうだ。


でもそのことが現実に、しかもクラスメートに起きているのだから、いつまでも他人事ではいられない。

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