3センチHERO
小さなテーブルを6人で囲む。
窓側に、私、逢坂くん、鈴村さんの順番で並び、その向かいには、聖くんを膝に乗せたお母さんと、隣にお父さん。
なんだか不思議な状況だけど、今はそんなこと気にしている場合ではなかった。
「では、僕から説明させていただきますね」
その言葉を始まりとし、逢坂くんは流暢な日本語を並べ、三枝くんの今の状態と、私たちが今すべきことを語る。
彼の迫力に、私を含め皆が圧倒されていく。
これがテニス部長の力か、とあまり関係のないようなことをただ考えながら、私は相づちを打っていた。
「…なるほど。という事はつまり、この中にそいつはいるんだな」
犯人探しのようにも聞こえる台詞を、三枝くんのお父さんは言う。