3センチHERO

「じゃあ私と聖は外してくれて構わないんじゃないか? もともと嫌われていた訳だし、一応のわだかまりが解けたとはいえ、一番になるほど好かれているとは思えない」


フン、と腕を組み直し、目線をそらす。


おそらく、その答えに辿り着いた時、悲しみを覚えたのだろう。


いくら本当の家族ではないといっても、同じ家に住んでいる以上、口数が少ないのは切ないものだ。


「そう、ですね……申し訳ないですけど、紘の事だからきっとそうだと思います」


三枝くんのお父さんの言い分に納得せざるを得ない逢坂くんは、声のトーンを低くして、小さく肯定した。


「なら、私もパス」


次に声を上げたのは、鈴村さんだった。

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