3センチHERO

「えっ、どうして…」


私がつぶやくように尋ねると、鈴村さんはバックからストラップを取り出して、切なげに眺める。


星型でピンク色。


神社で見かけた三枝くんのものの色違いだと気付くのに、時間はかからなかった。


「私ね、紘くんの妹だから何でも分かるの。嬉しいことも、悲しいことも……好きな人も」


「………」


息を飲み、ただ静かな時間が流れていく。


「この前まで私は紘くんと付き合っていたけど、紘くんは私のこと彼女として好きじゃなかった…」


涙を潤ませた、つまりつまりの声。


明るい笑顔に隠された裏側の存在があるのは、三枝くんだけじゃなかった。


それに気付いた時、何か胸に刺さるようなものがあり、自分の心から目を背けた。

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