3センチHERO

「まあ、妹なんだから当然なんだけどさ…勝手にお兄ちゃん以上の思いを抱いてしまった私が悪いんだけどさ…」


ツー、とほおを伝う涙が、1粒ストラップに流れ落ちた。


そして、私に目線を合わせて、思いもよらないことを言うのだった。


「鳴海さん…きっと、紘くんが一番大切に思っているのは、あなただよ」


えっ、と驚きの声を出したのは私だけではなかった。


逢坂くん、そして三枝くんの両親でさえも、目を丸くした。


「わ、私?」


「うん、おそらくだけどね」


「でも…逢坂くんの方が三枝くんと仲良いし、お母さんとかも、私よりずっと三枝くんと一緒にいた期間が長い。三枝くんの選んだ人が私だなんて、ありえないよ」


だって私は、地味で冴えなくて。


三枝くんが一寸成就をする前は、一緒に昼食を共にしただけ。


どう考えても、ありえないんだ…。

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