3センチHERO
3センチのヒーロー
あの日と同じように
「じゃあここからは鳴海1人で行動することになるけど、何かあったら、いつでも連絡しろよ? そうじゃないと、また心配になるからさ」
「うん、分かった」
逢坂くんのエールに、私は返事をする。
ここからが本番、私への使命…。
簡単なことじゃないのかもしれないけど、私なりに精いっぱい頑張らないと。
「鳴海さん!」
これからするべきことをぼんやり頭で描いていたら、不意に名前を呼ばれた。
声の方へ顔を向けると、鈴村さんが携帯電話を片手に、私の方へ寄ってくるのが見えた。
「ど、どうしたの…?」
彼女がやけに笑顔で、思わず戸惑ってしまう私がいた。
「私のアドレスも、鳴海さんに渡しておこうと思って! 小春くんのはあるのに私のはないなんて、差別されているみたいで、何かやだからさ!」
ほら携帯貸して、とまた柔らかく笑う。
言われたままに差し出すと、鈴村さんは手慣れた操作でアドレスの入力を始める。