3センチHERO
すると、そこにいたのは三枝 紘(サエグサ ヒロ)。
いつもと同じチャラチャラした様子で、空いていた前の席に座る。
「ちょっ、ちょっと…!」
「一緒に飯食う人いねぇんだろ? じゃあいいじゃん、俺が鳴海と食っても」
自分勝手すぎる…。
だけど、そんなこと引っ込み思案な私が言えるはずもなく、ただ無言でご飯を運ぶことしか出来ない。
三枝くんと私。
静かな時が、ゆっくりと意味もなく過ぎてゆく。
そういえば、三枝くんはいつも誰とお昼を共にしているのだろうか。
まあ私のようにひとりで過ごすなんてこと、彼にはありえないと思うけど。