3センチHERO
そして電車とバスを乗り継ぎ、私はおばあちゃんの家へ到着した。
いつもなら、懐かしいわ、なんて楽しそうに笑うお母さんや、たった数年だろう、と呆れつつもわくわくするお父さんがいたのに、今日はいない。
まあ前回もそうだったけれど、なんだか不思議な感じだ。
「おばあちゃん、おはよう」
重い引き戸を開け、家に向かって呼びかけた。
靴を脱ぎながら、挨拶が返ってこないことに違和感を感じ、もう一度声をかける。
「おーい、おばあちゃん?」
もしかして家にいないのだろうか。
勝手に入って迷惑だったかな。
すると、寝室まで歩いてきた時、その姿を発見した。
布団の中で、すーすー寝息をたてている。
どうやら、まだ眠っていた様子。