3センチHERO

そして電車とバスを乗り継ぎ、私はおばあちゃんの家へ到着した。


いつもなら、懐かしいわ、なんて楽しそうに笑うお母さんや、たった数年だろう、と呆れつつもわくわくするお父さんがいたのに、今日はいない。


まあ前回もそうだったけれど、なんだか不思議な感じだ。


「おばあちゃん、おはよう」


重い引き戸を開け、家に向かって呼びかけた。


靴を脱ぎながら、挨拶が返ってこないことに違和感を感じ、もう一度声をかける。


「おーい、おばあちゃん?」


もしかして家にいないのだろうか。


勝手に入って迷惑だったかな。


すると、寝室まで歩いてきた時、その姿を発見した。


布団の中で、すーすー寝息をたてている。


どうやら、まだ眠っていた様子。

< 303 / 345 >

この作品をシェア

pagetop