3センチHERO
寝室から出て、台所へと移動するおばあちゃんの後を、私も同じように着いていく。
朝ご飯を作るみたいで、私も手伝うことにした。
「何かあったのかい?」
腕をまくり、棚から何枚かの皿を出しながら言う。
「うん…おばあちゃんなら知ってるかと思って」
私は受け取った皿をさっと水洗いしながら答えた。
「言ってみな」
優しい言葉に、また甘えてしまう。
こんな暖かい家庭だったからこそ、今の私がいるのかもしれない。
「あのね。三枝くん……一寸成就をしている友だちが、今神隠しにあっていて」
「ほう、一寸成就の話か。神隠し、ということはもう終盤なんじゃな?」
神隠しの言葉に動揺の一つも見せないで、頷き問う。
やっぱり、おばあちゃんのもとに来て正解だったようだ。