3センチHERO

「うん、そうなんだけど…神隠しで私が探すことになって」


「なんと、結子が? それはそれはめでたい。早く探してあげないとねえ」


卵を割り、それを素早くかき混ぜるおばあちゃんを見ながら、私は自然と俯く。


「でも、その友だちと仲良くなったのが最近だから、あまり知らないことも多くて、見つけ出せるか不安で…」


「なるほど。それで私のところに来たという訳じゃな」


「そうなの。今日入れてあと2日しかないからなるべく急がないと、と思って」


2つ分の茶碗を受け取り、炊飯器からご飯をよそう。


「それなら、心配せんでも大丈夫じゃよ」


「えっ?」


思いもよらない言葉に、暖かいご飯の入った茶碗を手に、固まってしまう自分がいる。

< 307 / 345 >

この作品をシェア

pagetop