3センチHERO
「うん、そうなんだけど…神隠しで私が探すことになって」
「なんと、結子が? それはそれはめでたい。早く探してあげないとねえ」
卵を割り、それを素早くかき混ぜるおばあちゃんを見ながら、私は自然と俯く。
「でも、その友だちと仲良くなったのが最近だから、あまり知らないことも多くて、見つけ出せるか不安で…」
「なるほど。それで私のところに来たという訳じゃな」
「そうなの。今日入れてあと2日しかないからなるべく急がないと、と思って」
2つ分の茶碗を受け取り、炊飯器からご飯をよそう。
「それなら、心配せんでも大丈夫じゃよ」
「えっ?」
思いもよらない言葉に、暖かいご飯の入った茶碗を手に、固まってしまう自分がいる。