3センチHERO
3センチの謎
黒い影をまとった瞳
そして今日。
幸いにも休日だったので、早速朝から出かけることにした。
家を出る時、家族の皆には散々怪しまれたけれど、友達と遊ぶということにして、何とか出てくることができた。
三枝くんはというと、なくさないように落とさないように、いつもの胸ポケットの中にいる。
今日は制服と違って私服だから、少し居心地が違うかな、なんてどうでもいいようなことも考えていた。
おばあちゃんの家は、ここからかなり離れた田舎にある。
電車で2時間、からのバスで1時間半。
着いた先はまるで昔話に出てきそうなところ。
あまりにも遠いので、私も来るのは2年ぶりくらい。
「お、着いたのか?」
「うん、ここだよ」
胸ポケットから顔を出し、興味津々な様子で尋ねる三枝くんに、私は目の前の一軒家を指差して言った。