3センチHERO
「ずっと、会いたかった……三枝くん」
「……俺も、早く鳴海に会いたかった」
涙で視界がぼやけていく中、私はしゃがみこんで、そっと手を伸ばす。
三枝くんも、分かっているみたいに足を踏み入れた。
まるで日常行為のように、当たり前のように。
私たちの体が触れ合った瞬間、三枝くんの体から何やら煙のようなものが出始める。
「え……三枝くん!?」
その煙はどんどん体を飲み込み、ついには私の両手までもが見えなくなった。
「三枝くん……!」
彼の姿を確かめようと、何度も名前を呼んでみるけれど、返事はない。
煙に包まれて消えていく三枝くんの姿を、私はただ眺めているしか出来ないの…?
せっかく再会出来たのに、終わりなんて嫌だ。
私はやっと、この思いに気付いたのに…。