3センチHERO

「帰ってくるよ…?逢坂くんも、鈴村さんも」


2人にこんな姿を見せてしまっても良いのだろうか。


彼らとは長い付き合いのはずだから、異性と抱き合っているところなんて、私だったら恥ずかしくて見せられない。


「あー、そっか。香澄は別にいいけど、ハルに見られるのは嫌だな」


そう言って体を離すと同時に、ガラガラと扉の開く音が聞こえた。


振り返ると、そこにいたのは予想通りの2人で、携帯電話を片手に写真を撮ろうとしている鈴村さんと、鬼の形相でこちらを睨む逢坂くん。


「わぁ! 戻ったんだ、紘くん! もしかして愛のパワーってやつ?」


「どうでもいいけどさ、なんで鳴海と抱き合ってんだよ。元に戻ったからって、調子乗ってんじゃねえ!」


「うっせー! お前には関係ねーだろ、小春!」


「小春って呼ぶなぁ!!」


気付けば始まっている2人の言い合いには、いつも顔が綻んでしまう。


和むというか、ほっとするというか…なんだか幸せな気分になれる。

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