3センチHERO

「あれ、三枝?」


「あ、紘だ。紘がいる!」


ざわざわと声がして、いつしか皆が集まっていた。


「よ、久しぶりだな!」


大きく手を振り上げ、教室に入ってくるクラスメートたちを明るく出迎える。


「久しぶり、じゃねーって!」


「お前どこ行ってたんだよ、一ヶ月も!」


「はは、悪りぃ悪りぃ」


一ヶ月ぶりに再会を果たしたということで、クラスメートたちも、三枝くん自身も、皆嬉しそうに、楽しそうに話していた。


良かったね、三枝くん。


心の内で思うと同時に、なんだか冷たいものがほおを伝う。


その正体が涙だと分かった途端、三枝くんの笑顔を見れなくなっていた。


なんで、こんな胸を締め付けられるような気持ちに…。

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