3センチHERO

「高校生2名様ですね。2千円になります」


受付で入場料のお支払い。


自分の分を払おうとしたら、隣の三枝くんが。


「今日は俺が払うから。鳴海は、財布しまって待ってろ」


と笑顔で言うもんだから、さすがの私でも惚れてしまう。


「あーあ、この間はタダだったのになぁ」


園内をぶらぶら歩きながら、三枝くんが残念そうに肩を落とす。


「3センチだったんだからね」


「うん………って、そのこと忘れてほしかったのに、自分から思い出させるようなこと言っちまった! 最悪!」


言うと同時に、さらにうなだれた三枝くんは、やっぱり小さかった頃と同じままで。


外見がどうであれ、三枝くんは三枝くんなんだなって、改めて感じる。

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