3センチHERO
「あ! 空いてる、空いてる」
観覧車の近くまで来た時、三枝くんは待ち人を数えながら笑顔を見せた。
「もしかして、観覧車に乗りたかったの?」
「おう、そこで言おうと思ってさ」
言う、って何を…?
一瞬分からなくなってしまったが、そういえば、話したいことがあるんだったっけ、と言葉を思い出す。
話したいことって何だろう。
観覧車の順番待ちをしながら考える私は、どんなに大事なテストの時でも使わないほどの脳みそを活用していた。
しかし、それでも分かるはずもなく、気付いた頃にはもう次の番。
「お次の方どうぞー!」
スタッフさんの声に、私たちはゴンドラの前に立つ。