3センチHERO
「…あ、ハート型」
私と三枝くんの声が綺麗なハモりを奏でた。
確か前来た時もハート型だったような気がする。
奇跡か運命か、まあなんでもいいや。
なんて思っていれば、スタッフさんはにこりと微笑みを作る。
「よく気付きましたね! このハート型のゴンドラに乗ると、永遠に一緒にいられるというジンクスがあるのです。だから、お客様はラッキーですよ! 末永くお幸せにー!」
す、末永く…!?
最後の言葉に、私は何も言えずに固まってしまう。
もしかして、恋人かなんかだと思われたのだろうか。
地味な私と格好良い三枝くんじゃ、釣り合う訳がないのに。
カップルだと勘違いされるだなんて申し訳ないことをしてしまったな、と弁解しようとすると、三枝くんが親指を立てた右手を見せながら。
「はい、ありがとうございます!」
と、元気良く返した。