3センチHERO
「…やっぱり私のことは構わなくていいよ」
「は?」
「ごめん」
わけもわからず混乱する彼に、たったそれだけを置いて教室を出ていく。
三枝くんのような人気のある人が、私なんかと一緒にいてはいけないんだ。
最低かもしれないけれど、自分勝手かもしれないけれど。
きっと君と話すのはこれが最初で最後だと思うから、私のたったひとつのわがままだと思って許してほしい。
小さな願いを込めて、あてもなく教室を出ていく。
しかし、それからのこと。
私のクラス、2−3に不思議な現象が次々と起こっていくのを、このときの私はまだ知るよしもない。