イケメンエリート軍団の籠の中



舞衣は小さく深呼吸をした。


「でも、いいんです…
今、私はEOCの人間としての適正を問われている時期で、一か月後に社長に判断されるみたいで。
一生懸命EOCの人間になれるように頑張るのはもちろんですが、でも、もし、それでダメだったら、それがきっと私のための答えなのかなとそう思ってます。

三流の人間が一か月そこらで一流の人間にはなれるとは、やっぱり思えないし」


すると、凪は舞衣の顔を自分の方へ向かせた。


「ねえ、一流って何?

確かに俺達は雑巾がけっていう概念は全く持ち合わせてないけど、でも、それをすることで皆に褒められるのならそれは凄い事であって、その状況下ではその行為が一流なんだと俺は思うけどな。

一流ってそういうもんだろ?

俺達みたいな人間が一流って言われるのは金を持ってるからで、でもそれが果たして真の一流かなんて誰も知らない。
それに、舞衣が言ってるその状況下では、俺達は三流の人間だよ。

そんなもんだよ……

俺から言わせれば、一流なんてくそくらえって感じだけどね。
本当に一流な人間は、自分の事を一流なんて言わないし、気づいてない。

今日の舞衣みたいにね…」


自分らしさを捨てようと思っていた自分の考えが、凪の言葉で消えていく…

舞衣はまた注がれたワインを一気に飲み干した。

凪さんがいいって言ってくれるなら、それでいい。舞衣、明日からまた頑張れるよね? 

舞衣は心が軽くなるのが分かった。

凪の言葉は舞衣の心に沁みわたる。
この美味しいワインと綺麗な夜景と凪の温かさとともに……








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