イケメンエリート軍団の籠の中
“一回、家へ帰ります”
舞衣は凪へそうメッセージを送った。
本当に毎日凪の家に泊まるのなら、それなりに準備が必要だ。
スーツケースに数泊分の荷物を入れて凪の家を訪れても、何も違和感はないだろう。
舞衣は仕事を終え、電車で自分の家へ向かった。その間にも、何度もぎんなんからメッセージが来る。
“ちゃんと電車に乗ったか?”とか、
“あ~、こんなことならうさ子にGPS携帯を持たせておくべきだった”とか……
愛する子供を初めておつかいに出した子煩悩過ぎる父親のようだ。
舞衣は、いつものクールで恐ろし気な凪とのギャップに心が踊った。
こんなに私の事を心配してくれるのは、ママと別れて離れ離れになったパパ以来かも……
パパ、どうしてるかな…?
舞衣は自分自身は気づいていないが、明らかに愛情不足で育ってきた。
心の奥の潜在的なところで、父親の愛情を求めていた。いや、今でも求めている。
父親が大好きだった小さな頃の思い出は、舞衣の記憶の中から消える事はなかったから。
舞衣はアパートに着くと、まずは荷物の準備をして、そしてシャワーまで浴びた。
しばらく留守にすると思えば、気が付くと、部屋の掃除まで始めていた。
ピンポン、ピンポン。
え? うそ? まさか……