イケメンエリート軍団の籠の中
舞衣が鍵穴から外を覗いてみると、そこにはいかついイケメンのタロウが立っていた。
「タロウさん?」
舞衣はそっとドアを開ける。
「はい、そうです。
舞衣さんをお迎えに参りました」
「すみません…です。
色々やってたら遅くなっちゃって…」
タロウは中を覗いて、廊下に出ていたスーツケースを運びだした。
「舞衣さん、急ぎましょう。
凪さんのイライラが頂点に達してますから」
舞衣はその言葉を聞いて、慌てて部屋の電気を消し戸締りをした。
「あと、舞衣さん、凪さんからのメッセージ無視したでしょ?」
な、何で、そんな事をタロウさんが知ってるの?
「い、いや、無視ではなくて…
シャワーを浴びたりしてて、全然スマホを見てないだけなんです」
舞衣はタロウがアパートに横づけしているベンツに乗り込み、後部座席に凪がいないことを確かめ心からホッとした。
「舞衣さんって凄いっすよね」
運転席に乗り込んだタロウは、開口一番そう言った。
「え? 何がですか??」
「だって、俺とかがそんな事したら、即クビですから。
あの凪さんが、舞衣さんだけは目の中に入れても痛くない状態ってのが凄いなと思って」