イケメンエリート軍団の籠の中
タロウは帰宅時間にかかる夜の都心を猛スピードで運転した。
渋滞を避けて近道を通り、短時間で舞衣を凪の元へ届けることに専念している。
その間、車の中で、舞衣は凪からのメッセージのチェックをした。
鍵印のついたぎんなんの文字が十個は並んでいる。
舞衣は一番ほやほやのメッセージを開けてみた。
“早く来い”
舞衣はその短い凪らしいメッセージを読み、窓から見える外の景色を確かめた。
もうすぐ着きます、ごめんなさい…
舞衣は心の言葉をそのままメッセージに乗せ、凪の元へ送った。
凪の部屋の前に着くと、タロウは舞衣に小さな声で頑張れと言い、そそくさと帰った。
舞衣は鍵がかかっていないドアをそろりと開け、こんにちはとか細い声で言ってみた。
奥からは何も聞こえない。
人がいるような気配も何もしなかった。
「凪さん、いますか~~?」
舞衣はスーツケースを自分の部屋へ置き、そして、リビングに入り凪を呼んだ。
「あ……」
舞衣がリビングに入った途端、急に部屋が明るくなった。
窓の外はあのダイヤモンドの輝きのような夜景が広がり、その前の特等席となっているローテーブルの上には、見た事がないような豪華なご馳走が並んでいる。
「な、凪さん、これ……」
「遅すぎ、待ちくたびれた」
凪はそう言いながら、後ろから舞衣を抱きしめた。