イケメンエリート軍団の籠の中
これ以上可愛くならないでよ…
翌日は土曜日だったため、舞衣は知らず知らずの内にお昼前まで寝ていた。
凪の家で頂く美味し過ぎるワインのせいもあるし、働き始めてから初めての休日ということもあり、舞衣の体は、舞衣の意思とは関係なく目覚める事を忘れていたようだ。
でも、それにしても、人様の家に泊めてもらっているのに、こんな時間まで寝てしまった自分に、舞衣自身半ば呆れていた。
舞衣はすぐに洗面を済ませ身支度を整え、凪を捜しに部屋を出た。
「凪さん…?」
舞衣は少しだけ開いているドアから凪の部屋を覗いて見る。
黒とグレーで統一された整然としているその部屋で、凪は仕事をしていた。
大きくどっしりとした長方形の机の上には、大小問わず数個のパソコンが並んでいる。
そして、その前では、ヘッドフォンをつけた凪が、画面上の誰かと流暢な英語で会話をしていた。
舞衣は静かにドアを閉めた。
リビングのソファに腰かけると、自分のぐうたら加減にほとほと嫌気がさした。
大きな窓から差し込む陽射しはもう正午を告げようとしている。
そうだ、お昼ご飯を作ろう!
アイランド式の凪の家のキッチンは、モデルルームから出てきたように生活感が全くない。
もしや、一度もお料理してない??
舞衣は大きな冷蔵庫の前に立ち、恐る恐る片方だけのドアを開いてみた。
や、やっぱり……
凪の家の冷蔵庫の中はガランとしていて、飲み物しか入っていなかった。