イケメンエリート軍団の籠の中



舞衣と凪を乗せたタロウの運転するベンツは、高級店の立ち並ぶ銀座の一角に止まった。
凪は先に降り、舞衣を優しくエスコートして車から降ろす。

凪はアメリカでの生活が長いせいか、レディファーストの精神が体に沁み込んでいる。
さりげなく自然と当たり前のように、いつでも舞衣をエスコートした。

凪が舞衣を連れてきた店は、ネットで舞衣に会社用のスーツを買ってくれたあの高級ブランド店だった。


「今日は本当に舞衣に似合う服を買ってやる。
前に、映司に選んでもらった服みたいなのじゃなくて、舞衣に似合う、舞衣の好きな服を買おう」


そう……
映司さんに選んでもらった服は、私、あまり好きじゃなかった。
胸があき過ぎて大人っぽ過ぎて……
凪さんはちゃんと分かっててくれてたんだ。


「俺はそこの椅子を借りてちょっとパソコンをいじっとくから、自分が一番気に入るやつをゆっくり選んでいいよ。
値段は全然気にしないこと。

じゃ、行っといで」


凪はそう言うと、奥に常設されている真四角のシングルのソファに座り込み、パソコンを開いた。

気兼ねなくショッピングを楽しんでという凪の思いやりに、舞衣の心は和らいだ。
舞衣はため息がこぼれそうなほどの高級でお洒落な洋服に目をやると、今度は心が踊り出す。

洋服が嫌いな女の子はいない。
舞衣も例にもれず、綺麗な洋服を見ることは大好きだ。

でも、今日は見るだけじゃなくて、大好きな凪さんがこんな私に買ってくれるって言ってくれた。
本当に、本当に、いいのかな…?




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