イケメンエリート軍団の籠の中


凪はニューヨーク本社にいるソフィアとネットで会議をしていた。
会議といっても、二人で会話をしているようなものだが。
その用事を済ませ凪がパソコンを閉じると、店員がちょうど凪を呼びに来た。


「伊東様、お連れ様が気に入った洋服があったようで、見てもらえますか?」


凪はその店員に導かれフィッティングルームの前で待っていると、奥から大変身をした舞衣がはにかんだ顔で凪の前まで歩いてくる。

凪は息をするのを忘れてしまった。

舞衣は、ふんわりグレージュの可愛さが溢れたデザインのシフォンワンピースを着ている。
シンプルなデザインながらもウエストでリボンを締めていて、女の子らしいアクセントが舞衣にとてもよく似合っている。
そして、ヒールがちょっとだけ高い黒のオーソドックスなパンプスには、かかとの所に小さなグレーの造花があしらわれていた。

凪は肩で大きく息をした。
そうじゃないと、声すらも出ない。


「気に入った?」


凪がそう聞くと、舞衣は愛くるしい笑顔で大きく頷いた。

恋に落ちた?
それとも運命の相手??

凪は冷淡な分析者のくせに、今の自分の心の躍動が理解できない。
でも、一つだけ言えることは、舞衣をいますぐにでも抱きしめたい、それだけだ。


「了解。
じゃ、すみません、このワンピースの色違いがあれば、全部包んでください。
これは、このまま、着て帰るので。

あ、それと、このワンピースに合うバッグに、胸元に似合う小物を数点入れてくださいね」



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