イケメンエリート軍団の籠の中



「今さら聞くのもなんだけど、高い所、平気だよね?」


凪は放心状態で凪の顔を凝視している舞衣を見て、急に不安になった。


「……全然、平気です。
でも、何だか胸の奥の方がざわざわしてて……」


舞衣は、凪の先に見えるダイヤモンドが散らばったような大都会の夜景を見て、大きく深呼吸をした。
胸が張り裂けてしまいそうなほど感動している。


「ほら、見えてきた」


凪が舞衣の肩を東京タワーが見える位置に向けてくれた。
舞衣は東京の街の中で、一番東京タワーが好きだった。
スカイツリーができた時だって、よそ見することなく東京タワーを愛していたくらいに。

小さい頃、パパがよく連れて行ってくれた思い出の場所。
階段で登れるところまで頑張ろうって、幼い私の手を引いたパパの大きな手を今でもよく覚えている。


「凪さん、ありがとう……
私、実は、東京タワーが大好きで、小さい頃は寂しくなったらこのタワーが見える場所まで行って、そこで泣いたりしてた。

でも、今は、すごい幸せ……
まるで、天国にいるみたい…」


舞衣の目から、ポロポロポロポロと涙がこぼれる。

父と母が離婚してから、心の底から幸せって感じたことがなかった。
でも、今は、私だけのために、こんなに素敵なプレゼントを準備してくれた凪さんの存在が、大きな幸せをもたらしてくれる。

凪さん、本当に本当にありがとう……




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