イケメンエリート軍団の籠の中
舞衣は一瞬で恐縮してしまった。
もう怖くて凪の顔を見る事ができない。
「俺は伊東凪。
ちゃんと仕事さえしてくれれば文句は言わないよ」
「は、はい……
頑張ります……」
舞衣は下を俯いたままそう答えた。
「ちゃんと顔見せてよ。
それで、俺の顔もちゃんと見て」
舞衣はその言葉に驚き、背筋を伸ばして凪の顔を見た。
「目はかろうじて二重、鼻は低いけど色白の肌はツルツルで中の上クラス。
ポッチャリ系で、そのパッツンの前髪もいたって平凡。
了解、もう君の事は覚えたよ。
俺の事もちゃんと覚えてね」
舞衣はもう泣きそうだった。
平凡は平凡なりに一生懸命生きてるんです……
そんなあらためてしつこく言わなくても……
「……もう、覚えました」
舞衣が小さな声でそう答えた時は、凪の姿はもうそこにはなかった。
舞衣はドキドキが止まらなかった。
情けなくて悔しくて本当に怖かったのに、それなのに、人を馬鹿にしたような自信に満ちあふれたあの憎たらしい目が頭から離れない。
あんな俺様な人、憎たらしくて大嫌いなのに、なんでこんなにドキドキするの?…