イケメンエリート軍団の籠の中
籠の中に住む意地悪な奴
ジャスティンに連れて来られたメイクルームは、不思議の国のアリスに出てくるようなお洒落な小部屋だった。
中世のヨーロッパに出てくるお金持ちの家の雰囲気を漂わせている。
「この部屋を私が使っていいんですか?…」
舞衣は頬を紅潮させながら興奮した時に出る高い声で、ジャスティンに聞いた。
「もちろんだよ。
大体の人間は個人のブースをもらってるから、自分の部屋がある感覚なんだ。
でも、舞衣はここで仕事をするのはダメだよ。
舞衣の仕事は社員全員のサポートだから、あのフロアにある舞衣の席にいなきゃならない。
着替えをしたり、ちょっと休憩したりとかに使うこと」
「はい」
ジャスティンは舞衣の大きな返事に軽く微笑んだ。
素直で単純でいい子なのは、この少しの時間でよく分かった。
でも、一つ心配なのは、凪への恐怖心だ。
あいつの辛辣な言葉に舞衣がどれだけ耐えられるか…
「じゃ、お昼までは、さっきソフィアにもらった資料で、この会社の大まかな仕事を勉強してね。
昼からは英会話の勉強をしよう」