イケメンエリート軍団の籠の中
イケメンの保護本能をくすぐります
舞衣は買い物を済ませると、会社内にあるあのドレッサールームに籠っていた。
さっきフロアを覗いて見たが、皆それぞれのブースで仕事をしているせいかパソコンを打つ音と話し声は聞こえるけれど、誰一人見かけることはなかった。
54階にあるバーには、有名人や大物政治家もお忍びで来るらしい。
舞衣は綺麗な箱に入れてもらったワンピースを見て、大きくため息をついた。
たった一日で自分の生活が180度変わった気がした。
今までの普通の生活が、何も意味を持たなくなっている。
この会社に身を置くことで、今までの常識も、お金の価値観も、ちっぽけな自分のはずなのに何か勘違いをしてしまいそうで怖かった。
「舞衣、準備できた?」
ドアの外でジャスティンの声がする。
舞衣は、映司が選んでくれた黒のベロア風のワンピースの胸元が大きく開いているのが、どうしても気になっていた。
でも、そこを隠すストールもネックレスも何も持ち合わせていない。
舞衣は自分の姿をもう一度鏡に映し、色々な感情が混ざり合ったため息を小さくついた。
「はい、今、行きます」