イケメンエリート軍団の籠の中
「あ、はい、大丈夫ですよ。
そんな特別な話じゃないんです。
私の父と母は私が10歳の時に離婚して、私と姉は母子家庭で育ったんですけど、私の母には私が高校生の頃に素敵な彼氏が出来たんです。
すごくいい人で私も姉も大好きだったんですが、二人は結婚には中々踏み切らなくて。
6歳年の離れた姉は年頃になって早くに結婚したので、母とその人を結婚させるために、私が大学を卒業して自立したら結婚してって約束させたんです」
5人のエリートイケメンは静かに舞衣の話を聞いている。
「で、舞衣ちゃんが無事に大学を卒業して、晴れて一人暮らしを始めて、お母さん達は結婚したということか」
トオルは納得したような顔でそう言った。
「でも、舞衣は僕にバイトしてたって言ってなかったっけ?」
ジャスティンが身を乗りだして、舞衣にそう聞いた。
「そうなんです…
人生中々上手くいかなくて、卒業と同時に入社した会社は一年で辞めました」
「なんで??」
映司と謙人が声を揃えてそう聞いた。
「不動産会社の営業部に入ってしまって、最低でも月にマンションを一軒は売るという営業ノルマを、私は一年に一軒も売る事ができなくて、会社に居づらくなって辞めました」